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呑気な両親③
俺と黒曜さんは視線を合わせて
(おはよう)
(おはようございます)
と挨拶を交わした。
アイコンタクトでこんな挨拶ができるなんて、うれしいし、何だか擽ったい。
シルバを抱き上げていた祖母は優しく、ご飯だから人型に戻るように と言い、そっと床に下ろした。
きゅうっ と返事をして部屋に戻っていくシルバを愛情深い眼差しで見送ると
「さぁ、輝、運んでちょうだい。
黒曜さんはあちらで座って待っててね」
四人が揃ってまた賑やかな食卓を囲んだ。
お代わりの声が出始める頃、突然玄関の呼び鈴がけたたましく鳴り響いた。
ピンポーン ピンポーン ピンポーン
「こんな朝っぱらから誰かしら…」
「おばあちゃん、俺が行くよ。」
覗き穴から見ると、そこには見慣れた顔が二つ並んでいた。
父さんと母さん!?
慌ててドアを開けると
「輝っ!?
黙っててごめんなぁ…言い訳は後でするよ。
とにかく、上がるぞ!」
「輝…ごめんねぇ…で?お相手の方はどこ?」
質問に答える暇もなく、ドタドタと茶の間に連れて行かれた。
しまった!
突然の乱入者に、耳も尻尾も出たままのシルバは、箸を持って固まっている。
「騒々しいわね。どうして朝から来るの?
夜に って言っておいたでしょ?
シルバちゃんもびっくりしてるじゃないの。」
「シルバちゃん って言うのか…
初めまして、シルバちゃん。
輝のお父さんとお母さんです。
よろしくね。
…と、こちらの方かな?
初めまして。輝の父と母です。
輝と結婚して下さるそうで…ありがとうございます。
今後ともどうぞよろしくお願い致しますね。」
「こちらこそ、初めまして。須崎 黒曜と申します。
輝君との結婚をぜひお許しいただきたく、よろしくお願い致します。」
えっ、いきなりオッケー!?
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