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呑気な両親④

俺は驚き過ぎて身動きしないシルバを膝の上に抱いて、頭を撫でてやった。 ちょっぴり涙目になったシルバは、思い出したように ふるふると震え出した。 耳も尻尾も縮こまってしまっている。 「シルバ、大丈夫だよ。 俺のお父さんとお母さんだ。 人狼のことは知ってるから。」 シルバは俺を見上げ、ぼふっと胸に顔を埋めた。 余程怖かったのだろう。 しゃくり上げて泣き出してしまった。 「…もう…あなた達が驚かすから…」 祖母に叱られて、父も母もバツが悪そうだったが 「いやぁ、驚かすつもりなんてなかったんだが…すまなかったな… ところで黒曜さん、あなたも人狼なんですか? 俺にも子供達にもその印がなかったので、今まで説明もせず、呑気に構えてたんですが…」 「…はい。私も変化できます。 普段はこの人型ですけれど。」 「そうでしたか…輝、ばあちゃんから話は聞いたか?」 「うん。大体は。」 俺はシルバの背中を優しく摩りながら話をしていた。 「ちゃんとした話をしなくて悪かった… それで」 ピンポーン ピンポーン ピンポーン 「あらあら今度は誰かしら。」 「母さん、俺が行くよ。」 父が玄関に行くと、母が俺たちの所へ寄ってきた。 「シルバちゃん、びっくりさせてごめんなさいね。 私もお父さんも、あなた達の味方だから。 安心してね。」 まだしゃくり上げながらも、ちらりと母を見たシルバは、気丈にもこくんと頷いた。 バタバタバタっ 「ばあちゃん!輝達来てるって!?」 「兄さん!」 腕の中のシルバが、再び ぴきっ と固まった。 次の瞬間 うぇーーーーーん 極限状態がシルバの許容範囲を超えたのだろう。 本格的にシルバが大泣きを始めてしまった。 「…本当に、あなた達は…」 祖母のため息が聞こえた。

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