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呑気な両親⑥
その健気で愛くるしい姿に、大人達が完全にノックアウトされた。
俺はシルバをもう一度抱きかかえ
その俺達を黒曜さんが抱え込み
祖母は両手で口元を押さえ
両親は手を取り合ってハグして
兄はもんどり打って倒れた
シルバ…何ていい子なんだ!
これで完全に葛西家はシルバの虜になってしまった。
「…ママ…苦しいよぉ…」
「あっ、ごめん、ごめん!」
抱きしめていた力を緩めると、尻尾をゆらゆら揺らしながら言った。
「ママ、本当にママになってくれるの?
みんな許してくれたんだね!」
「そうだよ!
ここにいるみんな、シルバを守ってくれる。
だから…もう、怖くないよ。」
シルバは へにゃ っと笑うと、また胸に擦り付いて離れなくなった。
俺はそんなシルバを撫でながら、黒曜さんの胸に身体を預け
「黒曜さん、ありがとう」
と呟いた。
「俺こそありがとう…」
黒曜さんの目に涙が光っている。
そっとそれを拭い、ゆっくりと俺達から離れて正座し直した黒曜さんは
「命に代えても必ず幸せにします。
銀波共々よろしくお願い致します。」
と深々と頭を下げた。
こうしてドタバタの顔合わせと挨拶が終わり、段々と慣れてきたシルバは次々とみんなの膝に抱かれ、撫でられていた。
「輝、俺が知った時点で早くに伝えてやらなくて悪かったな。
どうやって説明していいのかわからなくて、時間ばかりが立ってしまって。」
「ううん。兄さんもびっくりしたんだろ?
耳、コントロールできるの?」
「あぁ。もう大丈夫だ。
俺は耳だけだけど、黒曜さんは全身?」
「そうです。
体調悪い時や完全にリラックスした時には狼になりますよ。」
「そうか…じいちゃんと一緒だな。」
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