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二人の想い④
俺は少し考えて続けた。
「そう考えていくと、家に入って、家のことと子育てとをしっかりやっていったほうがいいのかなって思う。
俺の性格から言うと…やっぱり片手間にはできないし、両立する自信もない。
これから、シルバの学校のこととかも考えてやらなきゃいけないしね。
それに…取り立てて出世とかには元々興味もなかったから…ただ、主夫になるって、黒曜さんに甘えてばかりになっちゃうな…って。
でも、俺だって当面の生活ができるくらいの貯金はあるから、黒曜さんに迷惑をかけることもない。」
「輝、俺は迷惑だなんて思ったこともないよ。
いつも俺の側にいてくれたら…それだけでうれしい。」
「おおっ、また惚気られたぁー…
輝!お前急にママらしくなってきたな。」
「兄さん、揶揄わないでよ!
俺、真剣に悩んで考えてるんだよ!」
「ごめん、ごめん。
でも、こういうことはきちんとしておかないと、後になって『そんなつもりじゃなかったのに』とか『やっぱり仕事を続けたかった』とかさ、トラブルの元になっても困るだろう?
ましてや、シルバちゃんだっているんだ。
この子のことを一番に考えてやらないと。」
確かに兄の言う通りだ。
黒曜さんと顔を見合わせて頷いた。
そこへ父も参加してきた。
「どうだ?輝の気持ちは聞けたのか?」
「ええ、今聞いてる最中で…」
「みんな、俺達のこと、真剣に考えてくれてるんだ…」
「当たり前だろ?大切な家族のことだ。
それに俺達にはかわいい孫もできたんだ。
この子の幸せを一緒に考えてやらねば。」
うれしい!
みんな!俺のことだけでなく、ちゃんとシルバのことを思ってくれてる!
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