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二人の想い⑥
「父さん…兄さんも、ありがとう。
俺、しっかりとシルバを育てて、黒曜さんと幸せになるよ!
だから、もし困ったことがあったら助けてほしい。
この世界のことは全くわからないし、覚えていかなきゃならないこともたくさんあるから…
お願いしますっ!」
「輝に辛い思いをさせることもあるかもしれません。
できるだけ二人で解決していきたいのですが…
私に言いにくいこともお義父さん達には言えるかもしれない…その時にはどうか力になって下さい。
どうかよろしくお願い致します。」
二人で深々と頭を下げた。
その頭をポンポンと撫でた父は
「いつでも何でも言っておいで。
俺達でできることなら力を貸そう。
黒曜君、こちらこそよろしく頼むよ。」
と笑いながら言った。
ホッとして頭を上げると、同じように安堵した笑顔の黒曜さんと目が合った。
二人で見つめ合って頷いたところに、シルバが飛びついてきた。
「うわぁっ、シルバ!」
くぅーん くぅーん くぅーん
抱っこをせがんで甘えるシルバを抱きしめた。
これからは俺だけじゃなく、みんなが守ってあげるから…という思いを込めて…
人狼のことも、もっと勉強しなくちゃ。
これから…いつ仕事を辞めてもいいように準備していかなければ…
とりあえずは引っ越しが先だな…
なんてことを考えながら、ゆっくりとその背中を撫でてやる。
きゅうっ
と甘えた声を出したシルバが大きな欠伸をした。
あぁ、子供は寝る時間だ。
「シルバを寝かせてくるね。子供はお休みタイムだよ。
シルバ、みんなにお休みは?」
「きゅうっ、きゅうーん」
「銀波ちゃん、お休み。」
「また明日ね。」
「お休み、銀波。」
「いい子で寝るんだよ。」
「お休み〜」
順番に頭を撫でられてご機嫌なシルバを連れて布団に入った。
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