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二人の想い⑦
シルバは俺の胸に擦り付いて、きゅう っとひと声鳴くと、あっという間に寝付いてしまった。
すぅすぅと寝息を立てて眠るシルバを見ていると、幸せな気持ちで胸が一杯になった。
もふもふの頭をそっと撫でてやる。
よかったね、シルバ。
頼りになる大人が増えたよ。
何があっても“ママ”が守ってあげるから。
しばらく撫でていると、そっと黒曜さんが入ってきた。
小さな声で尋ねられた。
「シルバは寝たのか?」
「はい、すぐに。もう、ぐっすりですよ。」
「そうか…輝…本当にありがとう。」
「え?」
「輝のお陰で、俺も銀波も…幸せになれる。
輝のことは、俺が必ず幸せにする。
だから…迷わず俺についてきて下さい…」
「黒曜さん…」
優しく触れる唇に胸が震える。
早く、早くあなたと一つになりたい…
そんな気持ちを気取られまいと、さり気なく離れる。
「輝?」
「ごめんなさい…くっ付いていたら、それ以上のことを…ごめんなさい…」
こつんとおでこをくっ付けてきた黒曜さんは
「俺だって…理性フル動員で我慢してるんだ。
家に帰ったら…思い切り抱かせてくれ。
いいね?」
真っ赤になりながらも、こくんと頷くと
「いい子だ」
と触れるだけのキスをされた。
黒曜さんも我慢してるんだ…
昂りそうな俺自身を必死で宥めて、シルバにそっと布団を掛けると、二人でみんなの所へ戻ることにした。
「銀波ちゃんは、もう寝たの?」
祖母がお茶を入れてくれた。
「うん。布団に入った途端にぐっすり!
今日は初めてのことが多かったから、疲れたんだと思う。」
「そうだよね。いきなり知らない大人が三人も現れたんだもん。
大泣きしたしな…かわいそうなことしちゃった…」
と兄。
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