118 / 337
二人の想い⑩
シルバもそうだが、俺にとっても昨日からいろんなことがあり過ぎた。
まさか両親と兄までもがやって来て、認めてくれたなんて。
喜びに高ぶる気持ちを落ち着かせようと、横になり目を瞑ると、睡魔に襲われてくる。
そこでプツッと意識が途絶えてしまった。
すーっと障子を開ける音がして、誰かが入ってきた。
髪の毛を撫でられて、逞しく温かなものに包まれた。
微かにアルコールの匂いがする。
「ん…黒曜さん?」
寝ぼける俺の額に唇に、キスが降ってくる。
「すまない、起こしたか?」
「いいえ、大丈夫です…もう解放されたんですか?」
黒曜さんはフッと笑うと
「お義父さん、ご機嫌でピッチが早くて…早々に酔ってしまわれて、お義母さんが回収していかれたよ。
輝が優しくてしっかりしてて強いのは、あのご両親譲りなんだな。」
「仕事が忙しくて放ったらかしでしたけどね。
でも、そのお陰で兄も俺も、家事が得意になったので感謝しなければ。」
くすくす笑って答えると
「本当だ。」
二人で声を殺して笑う。
黒曜さんは急に真面目な声で
「…これで葛西家の承諾を得ることができた…
輝、本当にありがとう…」
暗闇に浮かぶ青い瞳。
俺はそっと手を伸ばして黒曜さんの頬に触れた。
「俺こそ…本当にありがとうございます。
一生…手離さないで下さいね。
俺はもう、離れませんから…」
その手を握られ、手の甲にそっとキスされた。
「命を懸けて誓う…輝、愛しています。」
「…黒曜さん…」
シルバ越しの熱い抱擁とキス。
もどかしさが募るけれど、確かに伝わる愛。
その思いを胸に、愛おしい伴侶 に抱かれて眠りについた。
ともだちにシェアしよう!