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ママの役割①
翌日…俺達は午前中に出発することにした。
人狼関係の会社をチェックしたかったからだ。
両親と兄は、後もう一泊するらしい。
チビ狼の姿のシルバは、別れを惜しむ家族から抱っこされ撫でられ、それぞれの顔を舐めては、きゅうきゅう鳴いていた。
父と兄は黒曜さんとがっちりと握手をしていた。
どうやら、二人の間の絆が深まったようだった。
祖母と母は黒曜さんに
「輝を呉々もどうぞよろしく」
と何度も何度も念押しするもんだから、呆れた俺から釘を刺される始末。
名残惜しげな みんなに見送られて、俺達三人は祖母の家を後にした。
「黒曜さん、本当にありがとうございました。
びっくりしたけど、俺が人狼だということもわかったし、何より両親達に隠し事がなくなりました。」
「俺の方こそお礼を言いたい。
輝、本当にありがとう。
俺だけでなく銀波までも受け入れて認めてくれて…感謝しても し足りない…
それに、俺の知らなかったこともたくさん教えてもらえた。
今後必ず役に立つよ。」
「きゅうん、きゅうん!」
「シルバ、人型にならないとお話しできないよ。」
シルバは人型に戻ると、着替えを済ませパーカーを頭から被った。
「おばあちゃんも、たけじいちゃんも、みっちゃんも、おにいちゃんも、みーんな、だぁーい好きぃ!」
「それ聞いたらみんな喜ぶよ。
シルバに家族が増えたんだ。
みんなに甘えていいからな。」
「うん!
…ねぇ、ママは本当のママになってくれたんだよね?」
シルバが眉をきゅっと寄せて心配そうに尋ねた。
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