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愛を確かめる④

お腹の奥から たおやかで優しくて穏やかな、不思議な温かさが生まれている。 そう、『生まれている』という表現が相応しいのだ。 俺には子宮がないはずなのに、“何か”が体内に形作られていくような気がしてならない。 何か“核”のようなものが。 初めて彼を受け入れた時にも、身体の中から何かが変わる感覚があったが、その時には『何となく』という感じだった。 今日は、その感覚がより強くなっている。 まさか… 本当に黒曜さんと俺の、お互いを思う気持ちが本物で、確かな愛が育まれているなら… 俺の身体が変化している!? 子供が…できる臓器が作られている? そう思うと、急に怖くなってきた。 「…黒曜さん…黒曜さん…」 俺の不安そうな震える声に、黒曜さんが愛撫の手を止め、頬を撫でてきた。 「どうした?痛いのか?」 ふるふると首を横に振って否定し、なおも震える声で 「…俺の中に何かができてる…黒曜さん…俺、オンナになってる…かも… 怖い。どうなるんだろう…」 ハッ と気付いた黒曜さんが、つぷっと指を抜き、俺を抱きしめた。 「輝…『オンナになってる』って… まさか、それって…」 「…子宮、できてるかも…」 黒曜さんは驚いたように俺の顔をマジマジと見つめ 「…輝…心から本当に俺を…受け入れてくれたのか? 本当に? …この…人狼の俺を?」 青い、蒼い美しい瞳が揺れている。 じわりと涙の膜を纏って。 その目を見た瞬間に、身体が変わることへの恐怖や不安が、なくなっていった。 いつの間にか、震えが止まっている。 お腹の奥が、ほんわりと温かくて愛おしくて、俺は目を閉じて大きく深呼吸した。 間違いない。 確かに『ここ』にある。

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