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愛を確かめる⑤
黒曜さんが心配そうに俺の名を呼ぶ。
「…輝?」
俺は数回大きく深呼吸してから、真っ直ぐに青い目を見つめた。
そして、にっこりと微笑みながら言った。
「子育て、忙しくなりますよ。」
大きく目を見開き、破顔した愛おしい伴侶が、ぎゅうぎゅうと抱きしめてくる。
「輝っ…輝…」
「黒曜さん、ちょっと苦しいです!
少し….緩めて…」
「あっ、すまない!」
顔を見合わせて吹き出した。
「輝、輝…俺…うれしいよ…
この俺を…本当に愛してくれてるって…
銀波もいるけど、大人になれば、あの子は自立して俺から離れて行くだろう。
俺はずっと死ぬまで一人だと思ってたんだ。
だけど、輝…君がいてくれる。
俺の側に…
身体を変えてまで、俺を思ってくれてるなんて…
ありがとう、ありがとう、輝…愛してる…」
俺は涙声の黒曜さんを抱きしめて、
「俺も…黒曜さんが俺を愛してくれて、うれしい。
黒曜さん、ありがとうございます…愛しています…」
目の前の黒曜さんがボヤけて見えなくなってくる。
涙がぽろりと零れ落ちて、それを舌先で舐め取られた。
このまま一つになって溶けていきそうなくらいに抱きしめ合って、近付いていく唇がそっと重なり合った。
俺のお腹の中は、カイロを貼り付けたようにポカポカと暖かい。
今夜、黒曜さんに抱かれたら、確実に俺は妊娠するだろう。そんな予感があった。
仕事のこととか、これからの生活のこととか、本当はしっかりと考えなければならないのだろうけど、今の俺にはそんなことよりも、一刻も早くこの恋人 と結ばれたい…という思いが膨れ上がっていた。
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