139 / 337

シルバ、デビュー!②

揺れるカーテンの向こうが、赤く染まっているのに気付いた。 「黒曜さん、もう夕方です! シルバが起きてるかも…俺、見に行ってきます!」 「いいよ、俺が見てくるから。 輝はまだ休んでて。」 名残惜しい肌の密着を解き、簡単に身支度を整えた黒曜さんが出て行った。 情事の後が残るこの空気感とシーツの乱れが、先ほどの行為を思い出して一人で真っ赤になり、あたふたしてしまう。 そうだ。 とにかく着替えなくては。 身体を見てぎょっとした。 全身に散らばる赤い印。愛された証拠だ。 それに、あれだけ精に塗れたというのに、綺麗になっている。 黒曜さんだ。やだ。気を失っている間に清めてくれたんだ。 恥ずかしさに悶えながら何とか着替えて、そっとドアを開けた。 「あっ、ママっ!」 ぼふん とシルバが飛びついてきた。 「シルバ、一人にしてごめんね。」 「ううん、僕も今目が覚めたの。 ママぁ、お腹空いたぁ。」 「ごめん、ごめん。 今すぐに作るから、黒曜さんと待っててね。」 シルバの頭を撫で、黒曜さんの所へ連れて行った。 さぁ、今夜はシルバの好きなオムライスだ。 お腹を空かせた狼さん達に早く食べさせなければ。 「ママ、美味しいよ!僕の名前、書いてくれたの?」 「そうだよ。『しるば♡』って。 シルバ、ひらがな読めるの?」 「うん!漢字も読めるよ。黒曜が教えてくれてるんだ。」 「すごい!漢字も?」 「うん。足し算も引き算もできる!」 ふん と得意気に大きく胸を反らせたシルバは、ゆらゆらと尻尾を揺らしている。 「シルバもすごいけど黒曜さんもすごい… そうだ。保育園か幼稚園!人狼の子供が通える所、探さなくっちゃ!」 「保育園か幼稚園!?」 シルバが反応した。

ともだちにシェアしよう!