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シルバ、デビュー!②
揺れるカーテンの向こうが、赤く染まっているのに気付いた。
「黒曜さん、もう夕方です!
シルバが起きてるかも…俺、見に行ってきます!」
「いいよ、俺が見てくるから。
輝はまだ休んでて。」
名残惜しい肌の密着を解き、簡単に身支度を整えた黒曜さんが出て行った。
情事の後が残るこの空気感とシーツの乱れが、先ほどの行為を思い出して一人で真っ赤になり、あたふたしてしまう。
そうだ。
とにかく着替えなくては。
身体を見てぎょっとした。
全身に散らばる赤い印。愛された証拠だ。
それに、あれだけ精に塗れたというのに、綺麗になっている。
黒曜さんだ。やだ。気を失っている間に清めてくれたんだ。
恥ずかしさに悶えながら何とか着替えて、そっとドアを開けた。
「あっ、ママっ!」
ぼふん とシルバが飛びついてきた。
「シルバ、一人にしてごめんね。」
「ううん、僕も今目が覚めたの。
ママぁ、お腹空いたぁ。」
「ごめん、ごめん。
今すぐに作るから、黒曜さんと待っててね。」
シルバの頭を撫で、黒曜さんの所へ連れて行った。
さぁ、今夜はシルバの好きなオムライスだ。
お腹を空かせた狼さん達に早く食べさせなければ。
「ママ、美味しいよ!僕の名前、書いてくれたの?」
「そうだよ。『しるば♡』って。
シルバ、ひらがな読めるの?」
「うん!漢字も読めるよ。黒曜が教えてくれてるんだ。」
「すごい!漢字も?」
「うん。足し算も引き算もできる!」
ふん と得意気に大きく胸を反らせたシルバは、ゆらゆらと尻尾を揺らしている。
「シルバもすごいけど黒曜さんもすごい…
そうだ。保育園か幼稚園!人狼の子供が通える所、探さなくっちゃ!」
「保育園か幼稚園!?」
シルバが反応した。
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