140 / 337

シルバ、デビュー!③

黒曜さんも大きく頷いた。 「俺も小学校に入るまでに何とかしなきゃって、ずっと気になってたんだ。 でも、今まで俺の仕事を優先したり、中々受け入れ先がなくて…これは完全に言い訳だな、ごめん、銀波。 お義母さんにいろいろ教えてもらったんだ。 俺の知らない場所も沢山あった。 その中に、近くて評判もいい所があるから、そこに見学に行こうと思ってるんだ。 明日行けるように予約してある。 銀波、お前みたいなチビ狼のお友達ができるぞ。 行ってみるか?」 「えっ?ホント? 僕みたいな耳や尻尾の付いてる子がいるの? 行きたいっ!僕、行きたい!」 シルバの目がキラキラしている。 「送り迎えなら俺もできると思う。 シルバ、行ってみようよ。」 「やったぁー!やったぁー!」 シルバがぴょんぴょん飛び跳ねて、くるくる回ってる。 余程うれしいんだろうな。 「ほら、目が回るよ。食べたばかりでそんなことしたら気持ち悪くなる。 シルバ、こっちにおいで。」 尻尾をブンブン振って飛びついてくるシルバを抱きかかえ、背中を撫でて落ち着かせてやる。 「よかったね、シルバ。 お友達、できるといいね。」 「うん!僕、すごく楽しみ!」 「じゃあ、もうちょっとしたらお風呂に入って、明日に備えなきゃね。」 「今日は俺が入れてやるよ。輝は…今日は一人で。な?」 耳元でこっそりと(俺のものだっていうシルシが身体中ついてるから…)とささやかれて、ぼふっと身体が火照った。 赤くなった頬を突っつかれ 「お湯、溜めてくるか。」 と笑いながらバスルームに向かう黒曜さんに、あっかんべーをしてやった。 シルバは「お友達かぁ…」と何度も呟き、一人で笑っている。 明日が楽しみだね、シルバ。

ともだちにシェアしよう!