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シルバ、デビュー!③
黒曜さんも大きく頷いた。
「俺も小学校に入るまでに何とかしなきゃって、ずっと気になってたんだ。
でも、今まで俺の仕事を優先したり、中々受け入れ先がなくて…これは完全に言い訳だな、ごめん、銀波。
お義母さんにいろいろ教えてもらったんだ。
俺の知らない場所も沢山あった。
その中に、近くて評判もいい所があるから、そこに見学に行こうと思ってるんだ。
明日行けるように予約してある。
銀波、お前みたいなチビ狼のお友達ができるぞ。
行ってみるか?」
「えっ?ホント?
僕みたいな耳や尻尾の付いてる子がいるの?
行きたいっ!僕、行きたい!」
シルバの目がキラキラしている。
「送り迎えなら俺もできると思う。
シルバ、行ってみようよ。」
「やったぁー!やったぁー!」
シルバがぴょんぴょん飛び跳ねて、くるくる回ってる。
余程うれしいんだろうな。
「ほら、目が回るよ。食べたばかりでそんなことしたら気持ち悪くなる。
シルバ、こっちにおいで。」
尻尾をブンブン振って飛びついてくるシルバを抱きかかえ、背中を撫でて落ち着かせてやる。
「よかったね、シルバ。
お友達、できるといいね。」
「うん!僕、すごく楽しみ!」
「じゃあ、もうちょっとしたらお風呂に入って、明日に備えなきゃね。」
「今日は俺が入れてやるよ。輝は…今日は一人で。な?」
耳元でこっそりと(俺のものだっていうシルシが身体中ついてるから…)とささやかれて、ぼふっと身体が火照った。
赤くなった頬を突っつかれ
「お湯、溜めてくるか。」
と笑いながらバスルームに向かう黒曜さんに、あっかんべーをしてやった。
シルバは「お友達かぁ…」と何度も呟き、一人で笑っている。
明日が楽しみだね、シルバ。
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