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シルバ、デビュー!④

早朝…寝室をノックする音で目が覚めた。 一糸纏わぬ姿で抱き合って眠っていた俺達は、何事かと飛び起き、慌てて身支度を整えてドアを開けると、シルバが立っていた。 「どうしたの?シルバ。まだ起きる時間じゃないよ。ちゃんと起こしてあげるから寝てていいよ?」 「…ごめんなさい。うれしくって目が覚めちゃったの…」 どうやら興奮してあまり眠れてないようだ。 黒曜さんにそっと耳打ちする。 (シルバ、ここで一緒に寝てもいい?) (…仕方ないな、今日だけだよ。) 「シルバ、こっちにおいで。」 「いいの?」 「銀波、今日だけだぞ。」 「うんっ!」 張り切って起きてきたシルバに叩き起こされた俺達は、眠い目を擦りながら布団に招き入れた。 見る間にチビ狼になったシルバを挟んで、黒曜さんに抱きしめられ、また夢の世界へと(いざな)われていった。 今度はセットした目覚ましに起こされて、それぞれの頬におはようのキスをしてから、そっとベッドを後にする。 黒曜さんとシルバは まだぐっすりと眠っていた。 リビングのカーテンを開けると、いい天気! 窓を開けて新鮮な空気を胸一杯に吸い込んだ。 一体どんな保育園なんだろう。 人狼の子供って、そんなに大勢いるのかな。 外から見られても大丈夫なんだろうか。 優しい子ばかりだといいな。 考えを巡らせながら朝食の準備を始めた。 「ママぁ…」 目を擦りながらシルバが起きてきた。 「おはよう、シルバ! うれしくって、また起きちゃった?」 「うん!おはよう、ママ! お腹も空いた!卵焼きいい匂い!」 ぼふっと俺の足に抱きついたシルバの頭を撫で 「じゃあ、黒曜さんも起こしてきて。」 「はいっ!」 尻尾を揺らしながら寝室へ飛んで行くシルバの背中を見送った。

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