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シルバ、デビュー!⑦
ゆみ先生と仲良く手を繋いだシルバの後をついて行くと…
お遊戯室(!?)のような大きな部屋に子供達が15人程、先生が紙芝居を読むのを輪になり座って見ていた。
尻尾が出ている子、顔が狼の子!
シルバみたいに耳と尻尾が出ている子。
みんな…人狼だとわかる子達だ。
ゆみ先生がシルバと入って行くと、一斉に子供達が注目した。
途端に固まるシルバ。
ゆみ先生は子供達に
「須崎銀波君よ。今日見学に来たの。
みんな仲良くしてあげてね。」
と紹介してから、シルバと一緒に輪の中に入った。
「銀波君は先生と子供達に任せて、お父様達はこちらへどうぞ。」
その声に振り返ると、ボリューミィな女性がニコニコと笑って立っていた。
「園長の横山絵里です。ようこそ『ひまわり保育園』へ!
ご説明しますからどうぞ。」
案内されて応接室へ通された。
「森の中で驚かれたでしょう?
普通の人はまず来ないわよねぇ。」
あははと笑いながら、コーヒーを勧められた。
「ありがとうございます」とお礼を言った黒曜さんは
「改めて、須崎黒曜と申します。よろしくお願い致します。
銀波は私の甥ですが、息子として暮らしています。
こちらは私の婚約者の葛西 輝。近々籍を入れます。」
「よろしくお願い致します。」
「こちらこそ。あら、まあ、おめでとうございます。
銀波ちゃんのママね。
どうぞよろしくお願いしますね。
…いろんな子がいるから…まだ上手に人型を取れない子達のクラスなんです。
上手くコントロールできるようになると…それもちゃんと教えていくのですが…その上のクラス…小学校前の、人間でいう年長さんクラスに上がるんです。」
穏やかで優しい印象の園長先生。
ここなら大丈夫だと思った。
黒曜さんを見上げると、にっこりと笑って頷いてくれた。
よかった。俺と同じ気持ちなんだ。
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