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シルバ、デビュー!⑧

黒曜さんが切り出した。 「あの…」 「はい、質問には何でもお答えしますよ、どうぞ。」 園長さんは、にこやかに俺達を交互に見た。 「防犯システムというのか…一般の人間が訪ねて来たらどうされてるんですか? 私達は簡単に入ってこれました。 人狼は存在しないことになってるはず。 見つかりでもしたら、大変なことになるのですが。」 「保育園だけじゃなくて、村に見知らぬ人が入ってきたら、その時点でマークされてます。 村へ入る道は一本道ですからね。 二十四時間監視システムが作動してますから。 あなた方は、前もって訪問予定がありましたから、ほぼノーマークで入っていただいたんです。 事前の調査で、人狼の血を引くとわかっていたので。 勝手に調べてごめんなさいね。 この森一帯の全てが保育園の所有です。 それに…この村そのものが人狼のための村…つまり、この村に住む人全てが、人狼の血を引く人達ばかりなんです。 獣化しない人狼もいますよ。 小さな村ですから、住んでいる人の家族構成から、どこに勤めて何時から何時までは不在とか、誰と誰が付き合ってる、フラれた…とか、そんなプライベートなことまで、ほぼ全員が知っています。 …私もそうですよ。 子供達に教えなくてはならないですからね、時々私も獣化します。」 えっ…村の人全員が?園長先生も? 俺の戸惑いが伝わったのか、園長先生はにっこりと微笑んで 「大昔からこの土地に住んでいた人狼の先祖達が独自の村を作ってきたんです。 だから、外部にこのことが漏れるのを嫌がり、昔は、かなり閉鎖的だったようです。」

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