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シルバ、デビュー!⑩
黒曜さんと顔を見合わせて頷き合う。
よかった。
「銀波ちゃんは、このままみんなと一緒に過ごさせましょう。
ゆみ先生がついてますからご心配なく。
ご両親には園内を見ていただきましょうね。
何か気になるところがあればおっしゃって下さい。
こちらが園内の見取り図です。
一階からご案内します。
どうぞ。」
園長先生に促されて立ち上がった。
「門の横には警備室があって、警備員が常駐しています。
子供達に威圧感を与えないような、かわいい作りでしょ?」
玄関のガラス越しに、キノコの形の家のようなものがあった。
なるほど、これなら一見警備室だなんてわからない。
「職員室の隣は未満児さんのお部屋で『つくしんぼ組』です。
最近は出産後、すぐに働くママさんが増えましてね…狼の姿の子がほとんどなんです。」
そっとドアを開けた園長先生に目配せされて、黒曜さんと覗き込むと…
うわぁ…かわいい!
チビチビ狼が…一、二、三…五…
丸まって眠る子、先生に抱っこされて哺乳瓶に吸い付いてる子、きゅうきゅう泣いている子…
あ…耳と尻尾だけ狼の子もいる。
「…かわいい…」
思わず声が漏れた。
「ふふっ。この時期はほとんど寝てばかりです。
次は少し大きい子達の『ひまわり組』さん。」
次の部屋には、クッション性の積み木で遊んでいる子達がいた。
あ…取り合いっこでケンカしてる…あーぁ、泣いちゃった。
先生が二人を握手させて仲直り…ふふっ。
また遊び始めた。
シルバもきっとこんな関わりができるようになるんだな。
「園児用のトイレはこちらです。」
あはっ!かわいい!
カラフルで清潔感があって、絶対子供は好きになる。
壁に動物の絵が描かれ、何もかもが子供サイズで小さくて。
「ここが好きで出てこない子もいるんですよ。」
笑いながら二階へ案内された。
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