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保育園side:シルバ①
ここが、保育園…テレビや絵本で見てた…
すべり台やブランコもある!
うわぁ…これが本物なんだ…
ドキドキする…ちょっぴり怖い…
「ママぁ…」
「ふふっ。大丈夫だよ。さぁ、行こうか。」
ママが、きゅって手を繋いでくれた。
何だか勇気が湧いてきた。
ママ、大好き!
女の人が出てきた。
エプロンしてるから、先生かな?
「あぁ!今日見学される須崎さんですね?
お待ちしてましたよ、さあ、どうぞ!
えーっと…あなたが銀波君ね。
こんにちは!
私は安達 由美恵 と言います。
『ゆみせんせい』って呼んでね。」
ゆみ先生はしゃがみ込んで、僕の目と、目を合わせて、両手をそっと包み込んだ。
びっくりしたけど、ゆみ先生がこっそりと
「私も耳と尻尾を出せるのよ。銀波君と一緒だからね。」
と耳元でささやいた。
え?先生も?ホント?人狼なの?
うれしくなって耳もぴこぴこ、尻尾もゆらゆら揺れ出した。
先生と手を繋いで、大きなお部屋に行った。
入口に立った途端、みんなが一斉にこっちを向いた。
僕と同じくらいの子だ…
耳が出てる子や尻尾だけの子、僕みたいな子もいる。
顔が狼の子も!!!
じっと見られてびっくりしたけど…
「須崎銀波君よ。今日見学に来たの。
みんな仲良くしてあげてね。」
先生が紹介してくれて、輪っかの中に入って座った。
これ何?
首を傾げていたら、ゆみ先生がひそひそ声で教えてくれた。
「これね、紙芝居っていうの。
お話の場面を漫画にしてるのよ。
今日はね『桃太郎』のお話。知ってるかな?」
コクコクと頷くと
「じゃあ、見ててね。」
と頭を撫でられた。
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