149 / 337

保育園side:シルバ②

紙芝居をしてくれてる先生の声が、桃太郎になったり、鬼になったりしてる! すごい! ぐんぐん引き込まれて、僕も一緒に戦ってた。 ……………………「はい、おしまい!」 はあっ、おもしろかった!ドキドキした! 「みんなどうだった?」 楽しかったー 鬼キラーイ 桃太郎になりたーい せんせー、また読んでー あちこちから声が上がる。 僕と目が合った先生が、にっこり微笑んで手招きした。 どうしていいかわからず、ゆみ先生を見たら、にこにこして 「前に行ってらっしゃい」 と、優しく背中をとんと押された。 振り返り振り返り、ゆみ先生を見ながら、紙芝居を読んでくれた先生の元に辿り着いた。 先生は、そっと僕の肩を抱くと 「私は、梶谷 めぐみ。めぐ先生って呼んでね。 ゆみ先生は耳と尻尾だけど、私は全身獣化するのよ。」 と、こっそり教えてくれた。 「はい、みんなー。 今日見学に来てくれてる、須崎 銀波君です! みんな、仲良くしてね!」 はーい! ねぇねぇ、あそぼ! 私もー 何する? しるば?僕、りょうた! 私、小夏! わっ と群がるように取り囲まれて、四方八方から声を掛けられ、触られ、固まった。 「おい!びっくりしてるじゃないか! 一旦、離れろ!」 突然大きな声がして、しーんと静まり返った。 その声がした方を見ると、黒い耳、黒い尻尾、黒髪の男の子が立っていた。 「大丈夫か?」 コクコクと頷くと、その子はにっこり笑って 「俺は小橋(こばし) 太陽(たいよう)。 よろしくな、シルバ。」 「…太陽、君?」 「うん!太陽でいいよ。 ほら、みんな順番に並んで、自己紹介!」 そこにいた子達が、ざっと一列に並んだ。

ともだちにシェアしよう!