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保育園side:シルバ③

この子すごい。先生みたい。 みんなが言うこと聞いてる。 それに…黒曜みたいに綺麗な真っ黒な尻尾だ。 笑うと優しい顔になるんだね。 太陽君に支持された通りに、一人ずつ、自分の名前を言って握手していく。 こんなに沢山の握手したの、初めて。 名前、覚えれるかな。 「シルバ、行こう!」 太陽君が手を取ってボールのところに連れて行ってくれた。 あったかい手。 ずっと繋いでいたくなる。 それに…何だかいい匂いがする。 きゅ と握り返すと太陽君は照れながら言った。 「お前、何だかいい匂いがする。 この匂い、好きだ。」 尻尾がゆらゆら恥ずかしそうに揺れている。 僕も恥ずかしくなって俯いた。 お互いの尻尾だけが ゆらゆら揺れている。 「太陽!一人だけずるーい!」 「私もシルバ君と遊びたいっ」 「僕も!」 「「僕も!」」 「わかったよ!じゃあ、手つなぎ鬼やろう!」 やったぁー! 誰鬼? じゃんけん? 「…『手つなぎ鬼』って何?」 太陽君に聞くと 「鬼ごっこだよ。捕まえられたらその子も鬼になる。鬼と手を繋いで追っかけて、どんどん長くなるんだ。 最後はみんなが手を繋いで一本になるんだよ。 最初やってみせるから、危なくないとこで見てて。 おーい!鬼決めじゃんけんするぞ!」 最初はグー!じゃんけんポン! やったぁー! もう一回! うわぁ…小夏が鬼かぁ… …小夏ちゃんが鬼になった。 「さぁ!みんな、行くよぉ〜」 きゃあーーーーーー!!! 一斉にみんなが走り出した。 小夏ちゃんはゆっくりと、獲物を狙う獣のように品定めをしてるみたい。 ぱん!と弾けるように一直線にダッシュして、あっという間に一人目が捕まった。 「やだぁ。小夏ちゃん、早いもん。」 小夏ちゃんは得意気に香織ちゃんと手を繋いだ。 あ…これで鬼が二人になったんだ。

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