153 / 337
保育園side:シルバ⑥
え?野菜?
僕は食器の中をじっと見つめた。
人参、ジャガイモ、きゅうり、ブロッコリー、玉ねぎ…
「…すごい!これ、全部?」
「うん!俺も毎日手伝いに行くんだ。」
「お手伝いするの?偉いね!
じゃあ、残さずに全部食べなきゃね!」
そう言うと、太陽君はうれしそうに笑った。
その笑顔を見たら、また胸がキュンとしてドキドキしてきた。
あれ?僕、病気になったのかな?
胸のドキドキが止まらないよ!?
それを見て、太陽君も真っ赤になってモジモジしている。
少し話しては真っ赤になって、黙って。
また話して笑って真っ赤になって。
それを繰り返しながら、全部食べてお腹一杯になって、顔を見合わせて笑った。
何だかほわほわした給食の時間が終わった。
「銀波くーん!お帰りの時間ですよー!」
ゆみ先生がお迎えに来た。
すると、太陽君は耳と尻尾をピンと立てて、僕をぎゅっと抱きしめた。
「ダメ!シルバは俺と一緒にいるんだ!
帰っちゃダメ!」
威嚇するように、フーフーと荒い息を吐き、グルグルと喉を鳴らしている。
「…太陽…君?どうしたの?僕、黒曜とママとお家に帰らなきゃ。」
いやいやと、ぶんぶん首を振って、ますます僕を抱きしめてくる。
「太陽君、苦しいよ。」
「あっ!ごめん!痛い?ごめんね?」
力を緩めて離れると、僕の身体をあちこち撫でてくれた。
「太陽君、銀波君はパパとママとお家に帰らないと。ここでお泊まりはできないのよ。
太陽君だってお家に帰るでしょ?
…銀波君、明日からここに通ってみる?」
僕は黒曜とママを見た。
二人とも笑いながら頷いている。
「はい!ここに来たいです!太陽君と…みんなといーっぱい遊びたい!」
ともだちにシェアしよう!