154 / 337
保育園side:シルバ⑦
ゆみ先生はにっこりと微笑んだ。
太陽君の頭を撫でながら
「明日から銀波君と毎日会えるわよ。
たくさん遊んでたくさん食べて、たくさん学んで、一緒に大きくなろうね!」
「……………………」
「保育園のある日は毎日会えるのよ。
お休みの日にはパパにお願いして遊べたらいいわね。」
「…俺の家に一緒に帰りたい……」
「太陽君に家族がいるように、銀波君にも家族がいるのよ。
それがどれだけ大切な繋がりか、太陽君ならわかるよね?」
「……………うん。」
「銀波君もそうなの。
大きくなったら…二人がそうしたいとお互いに思って、周りのみんながいいよって言ってくれたら…そうなるといいね。」
「……うん。」
太陽君は…泣いていた。
僕は悲しくなって、太陽君に抱きついて、頬の涙をペロリと舐めた。
びっくりする太陽君に
「明日!明日、また遊んでね!」
と言うと
「…絶対に来いよ。」
と鼻先をぐりぐり擦り付けてきた。
擽ったくって、クスクス笑っていると、僕達をじっと見ていた他の子達が
「太陽とシルバ、結婚したみたいだ!」
と言い出した。
けーっこん!けーっこん!けーっこん!
と囃し立てる声に、びっくりして固まる僕達。
そこへゆみ先生の大声が
「はーーーい!静かにっ!
じゃあ、銀波君、明日も待ってるね!
先生もみんなも…まーたあーした!」
と両手をぶんぶん振って、サヨナラの握手をしてくれた。
(特に太陽君がね…)とこっそりささやきながら。
ママと手を繋いで廊下へ出ると、太陽君が扉のところまで追ってくる。
バイバイ、また明日…
口だけを動かして、ヒラヒラと手を振ると
「シルバっ!明日な!絶対だぞっ!」
目に涙を一杯溜めた太陽君が手を振ってくれた。
「うん!また明日ね!」
太陽君の視線は保育園を出るまで、ずっと追いかけてきていた。
ともだちにシェアしよう!