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小さな恋の始まり②
びっくりした。そうなんだ。
俺の知らないことが、まだまだあるんだな。
「今日の見学は給食まで体験してもらいます。
ご両親にも、同じように試食していただくので、ご意見があればおっしゃって下さい。
今後の課題として参考にさせていただきます。
用意できたようですね。
さあ、こちらへどうぞ。」
テーブルに並んでいるのは、色とりどりのおかず達。
お星様の形の人参とジャガイモが浮かんだスープ。
唐揚げとマカロニサラダ。
切り干し大根の煮物。
デザートにプリンも。
全部シルバが大好きなものばかりだ。
「シルバが大好きなものばかりです!
きっと喜んでるはず。
よかった…」
「お米も野菜も、この村で採れたものばかりなんですよ。
この村の農家さんが作って届けてくれてるんです。
どうぞ、召し上がって下さい。お代わりもありますから、ご遠慮なく。」
「美味しそう…いただきます!」
「いただきます!」
「「美味しい!」」
黒曜さんと声を揃えて言った。
「お気に召していただけましたか?」
「はい!もちろんです!
かわいくて、美味しくて…目でも楽しめて、子供達、うれしいと思います。
私達が意見することはありません。」
「よかったわ。調理師さん達も子供達が喜んで食べてくれるようにと、心を込めて作っていますから。」
「本当に美味しいですよ。」
そんな会話をしていると、ゆみ先生が小声で園長先生を呼んだ。
「ちょっと失礼しますね。ごゆっくりどうぞ。」
園長先生が席を外した後も、俺達は遠慮なく食べて、お代わりもさせてもらった。
デザートのプリンも平らげて、黒曜さんと、ここなら安心して預けられるね、等と話していると、園長先生がニコニコして戻ってきた。
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