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小さな恋の始まり④

園長先生に先導されて、シルバのいる教室へ向かった。 番? シルバはまだ五才の幼児だよ? こんな小さな頃から相手が決まるなんて… 戸惑いや心配が、纏う空気に現れていたのか、黒曜さんが『大丈夫だ』とでもいうように、俺の頭を数度撫でてくれた。見上げて黒曜さんを見ると、あの綺麗な青い瞳がしっかりと俺を見つめている。 俺の負の感情を全て吸い込んでくれるような、その瞳に微笑み返すと、背筋を伸ばした。 「銀波くーん!お帰りの時間ですよー!」 ゆみ先生が声を掛けた。 すると、シルバの隣の子が耳と尻尾をピンと立てて、シルバをぎゅっと抱きしめた。 あぁ、きっとあの子が太陽君…精悍な顔つきのイケメンさんだ。 意志の強そうな顔をしている。 真っ黒い耳と尻尾が逆立った。 「ダメ!シルバは俺と一緒にいるんだ! 帰っちゃダメ!」 威嚇するように、フーフーと荒い息を吐き、グルグルと喉を鳴らしている。 「…太陽…君?どうしたの?僕、黒曜とママとお家に帰らなきゃ。」 いやいやと、ぶんぶん首を振って、ますますシルバを抱きしめている。 「太陽君、苦しいよ。」 「あっ!ごめん!痛い?ごめんね?」 力を緩めて離れると、シルバの身体をあちこち撫でてくれていた。 「太陽君、銀波君はパパとママとお家に帰らないと。ここでお泊まりはできないのよ。 太陽君だってお家に帰るでしょ? …銀波君、明日からここに通ってみる?」 シルバは不安気に俺達を見た。 俺は黒曜さんに肩を抱かれたまま、顔を見合わせてから、笑って頷いた。 黒曜さんも笑っている。 「はい!ここに来たいです!太陽君と…みんなといーっぱい遊びたい!」

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