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小さな恋の始まり⑥

家に着いてからも、シルバは元気がなかった。 おやつのホットケーキも、ひと口で止めてしまった。 そしてトボトボといつものクッションまで歩いて行くと、チビ狼になり、丸まって眠ってしまった。 俺はシルバに布団を掛けてやり、こっそりと黒曜さんに 「シルバ、大丈夫かな…」 とささやくと、ふふっと笑いながら 「番と無理に別れて帰ってきたんだ。 その反動が出てるだけだから大丈夫だよ。」 と呑気な反応をされ、心配していた反動でがっくりと力が抜けてしまった。 「“番”って、そんなに絆が強いものなの?」 「子供は純粋だから、それが顕著に出やすいのかもしれないな。」 「…黒曜さんと俺は…番なんですか?」 「当たり前じゃないか! こんなに惹きつけ合って愛し合ってるのに…わからない?」 何だか悔しくて黙っていると、そっと腰を引き寄せられ抱き込まれた。 そして、顎を持ち上げられてキスされた。 「俺は、毎日輝に恋してるよ。」 ちゅっちゅっと繰り返しキスをする黒曜さん。 恥ずかし過ぎて真っ赤になりフリーズする俺。 「こうやって出会えたことに感謝してる。」 耳元で甘くささやかれて、腰が抜けそうになったところを支えられた。 「…黒曜さんは意地悪だ…」 「じゃあ、もっと意地悪なことしようか…」 俺は慌てて黒曜さんの腕の中から抜け出すと 「意地悪はいりません!」 と叫んだ後でハッと気が付いた。 シルバ?起こした? …よかった。丸まったまま寝てる。 太陽君…しっかりしてそうな子だった。 あの子なら、シルバを守ってくれそうな…シルバと仲良くやっていけそうな感じだった。 シルバだって満更でもなかったよな。 そっと頭を撫でてやる。 シルバが小さな声で、 きゅう っと鳴いた。

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