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許婚②

大人にはコーヒー、子供にはオレンジジュースを。 そして黒曜さんが買ってきてくれたお菓子を盛り付けて出した。 小橋さんが切り出した。 「ご丁寧にすみません。 お宅の銀波君とうちの太陽が番だと、今日、園の方から連絡がありました。 驚きましたが、やっぱりな…と。」 「やっぱり…とは?」 「小橋家は代々早熟の家系らしいんです。 親父は四才で、私もコイツを見つけたのが小学二年の時。 太陽の上に兄がいるのですが、その子も番に出会ったのが小学一年の時で… 太陽も早いだろうとは思っていたのですが…」 「そうだったんですか…」 「それでお願いなのですが、将来、結婚できる年齢になったら、二人を添わせてやっていただけないでしょうか? 今は婚約というか、後日正式に仲人を立てて結納をさせていただきたい。 何卒よろしくお願い致します。」 深々と頭を下げるご両親。 黒曜さんと俺は顔を見合わせて、そして目の前で手を握りしめて寄り添う、小さなひと組の番を見た。 「どうぞ頭をお上げ下さい…この子達の姿が答えです。 こちらこそどうか末長くよろしくお願い致します。 何分、幼過ぎて、どうして良いのかわからない…というのが正直な気持ちです。 銀波は私の甥…亡くなった妹の忘れ形見です。 私は一匹狼的に生きてきたので、人狼の世界の繋がりや決まり事など、何もわかりません。 輝に至っては、数日前に人狼の血を引くとわかったばかりで、これから学ぶことばかり。 私達を含めて、どうかいろいろと教えていただきたい。 何卒よろしくお願い致します。」 深々と頭を下げた。

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