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てんやわんや⑤
「課長…何仰ってるんですか?
そんなこと勝手に決められても困りますっ!
パートとか別部門とか…訳わかりませんっ!」
「あほぉ!言葉通りじゃないか。
お前は今週一杯で営業から事務職に移動!
勤務時間は明日、空いた時間に行って交渉してこい。
窓口は大橋。大橋課長を訪ねて行け。
どんな希望でも聞いてくれるから。
木曜日までに花巻と森田に引き継ぎしろ。
配分は後で知らせる。
…あいつらも人狼だ。気にするな。
それに、付き合ってる。」
「はあっ!?花巻と森田も?付き合ってるぅ!?
…一体この会社、どうなってるんですか?」
「人狼の社長が立ち上げた、人狼のための会社だよ。」
「だって、うちの親達も知りませんでしたよ!?
何で?どうして?」
「この地域にないから立ち上げただけさ。
表向きは全く普通の会社だからな。
うちの社長、文字通り『一匹狼』だから、他の人狼と群れるのが嫌らしいぞ。
お前達が思ってる以上に、人狼はいるんだよ。
だから、安心しろ。
それに、事務方は全員人狼だ。」
ふえっ!?…はあっ……
…もう『は行』の言葉しか出てこない…
「いいか?お前が辞める必要はないってことだよ。
再就職も、なかなか厳しいぞ。
専業主夫もいいが、子育ては金がかかる。
いくらダンナが高給取りでも、この先何があるか、わからないからな。あるに越したことはない。
老後も心配だ。
働けるうちに働いておけ。
育休は遠慮なく取ればいい。
そのために人を増やしてあるんだ。
いいな?じゃあ、解散!」
言いたいことを言い散らかして、課長は出て行ってしまった。
後に残された俺は、余りの展開にしばらくその場から動くことができなかった。
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