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いき違い②

「シルバちゃーん!お迎えですよー!」 「あっ、ママっ! 太陽君、また、明日!…ね?明日も遊ぼ?」 相変わらず、シルバの手を握りしめて離さない太陽君の手を先生がそっと離して、ハグの後、サヨナラをさせてくれた。 「太陽君、明日また遊んでね! 先生、ありがとうございました。 シルバ、先生に“さようなら”してね。」 シルバは尻尾を振りながら、先生と“さようなら”のハグをして駆けてきた。 そして俺に抱きつくとうれしそうに言った。 「ママ!ママもお迎えに来てくれたの?」 「うん!黒曜さんもいるよ!」 「銀波、お帰り!」 「ただいま!黒曜!」 「ねぇ、ねぇ、見て!」 シルバは俺達から少し離れて、目を瞑り、踏ん張っているような、力んでいるような… トイレ、行くか? すると、しゅるり と耳が消えて人間の耳が現れた。 「うわあっ!」 びっくりして叫ぶと、シルバが得意気に、くるりと回った。 「いっぱい、いーっぱい、練習したの! 太陽君もできるようになったんだよ!」 「シルバ、すごい!頑張ったんだね!」 とすん と俺に身体を預け、(頑張ったんだ)とつぶやいたシルバが愛おしくて、ぎゅっと抱きしめた。 「ねぇ、ママ…ご褒美にオムライスにして? お名前、僕が書くから!」 「ふふっ。いいよ!じゃあ、今晩はオムライスね!」 「やったぁー!」 洋服の下の尻尾が微かに揺れている。 今まで、どれだけ練習してもできなかったのに… 友達と一緒に、すごくすごく頑張ったんだね! 次は…尻尾にチャレンジか。 変化は人間社会で生きていくために必要不可欠。 これが出来なければ、学校にも会社にも行けないから。 やはり共同生活をさせてよかった。 ホッとして車に乗り込んだ。

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