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いき違い③

ご機嫌なシルバに卵を割ってもらいながら、今日一日の出来事をシルバに教えてもらう。 「…それでね、太陽君がね、僕と一緒にお歌を歌って…」 「…太陽君とお散歩に行って、お花を沢山見つけたんだよ…」 「…太陽君と給食のシチューのお代わりをしに行って…」 「…でね、太陽君と、園長先生の言うとおりにしたら、耳が変化できるようになったの!…」 口ばかり動いて、手が止まってしまっているシルバから出てくる言葉は『太陽君と』のオンパレード。 ずっと離れずに一緒にいるんだね。 眼に浮かぶ光景が微笑ましくて、思わず顔が綻んでしまう。 「そっか。よかったね。 今日も太陽君と一緒に楽しいこと一杯だったんだね!」 「うん!」 シルバの尻尾が揺れている。 「おっ、美味しそうだな。俺も手伝おうか?」 「黒曜はいいの!僕とママで作ってるんだから!」 シルバがぷうっと膨れて、黒曜さんをキッチンから追い出した。 「はいはい。じゃあ、できたら呼んでね。」 「はーい!」 「さぁ、シルバ、いくよ!」 よく熱したフライパンにサラダ油を少しとバターを入れる。 そこに卵を流し入れて、綺麗に楕円形に整えていく。これで中は、半熟のふわっふわトロリ。 盛り付けてあったライスの上にそっと乗せる。 「シルバ、お名前よろしく!」 「はいっ!」 ケチャップは緊張気味のシルバに任せて、後二回繰り返し、出来上がり。 「シルバ、上手じゃないか! ふふっ。黒曜さんを呼んできて。」 呼ぶまでもなく、黒曜さんがやってきた。 「お腹空いたよ〜!銀波、平仮名上手に書けたな。」 シルバは尻尾をブンブン振って得意そうだ。 「はい、みんなで…いただきまーす!」 「ママ、おいしぃーーい!」 「うん、輝のご飯は美味いな。」 「僕も手伝ったんだよ!」 見る間にお皿が空になった。

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