184 / 337
いき違い④
昼間たくさん遊んで変化もできるようになって、お腹も満たされて満足したのか、こっくりと夢の世界に行きかけたシルバを慌てて黒曜さんがお風呂に入れてやり、ベッドに運んでくれた。
見る間にチビ狼になったシルバの頭を撫でて、おデコに『お休み』とキスをする。
少し残っていた片付けを済ませ、俺もゆっくりと湯に浸かって、何となくモヤモヤした気持ちを整理していた。
黒曜さんは、子供ができることを後悔している?
『無理矢理自分の物にした』
『負担をかけてる』
『自分が許せない』
俺…そんな風に思ってないのに。
ただ…番になれてうれしい…黒曜さんを受け入れる身体になって、びっくりしてるけど何となくわかってたから、これもうれしい…負担だなんて思ったこともないのに…
俺の存在が負担なのかな…
自分が許せないほど、俺、重いのかな…
何だか涙が出てきた。
えぐえぐと泣いて、しばらくぼんやりとしていた。
もし…もし、俺のことが嫌になったのなら…
あー、嫌だ!
だって、俺はもう黒曜さんがいないとダメなんだもん。
また涙が出てきた。
どうして無理矢理という言葉の代わりに『愛してるから抱いた』って言ってくれないんだろう。
どうして負担という言葉の代わりに『家事が楽になった、ありがとう』って言ってくれないんだろう。
どうして自分を否定する代わりに『一緒に考えよう』って言ってくれないんだろう。
どうして…どうして?
答えの出ないまま、溢れる涙を止めもせず泣いていると、いきなりドアが開いた。
慌てたような様子の黒曜さんは俺の側に来ると、濡れるのも構わず俺の肩を掴んだ。
「輝、逆上せてないか?大丈夫か!?
…お前、どうして泣いてるんだ?どこか痛むのか?どうしたんだ?」
ともだちにシェアしよう!