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困惑③
シルバが泣き止むまで、三人でくっ付いていた。
二人の温もりが、俺の心を落ち着かせていく。
やっと泣き止んだシルバは
「お絵描きする!」
と、腕から抜け出して、スケッチブックとクレヨンを取り出し、何か描き始めた。
いつものシルバに戻ったのを確認して、安心した俺は、黒曜さんにもう一度ぎゅっと抱きついてから、そっと離れた。
黒曜さんは、俺の涙を拭きながら
「もういいのか?」
と、心配そうにしていたが
「はい!晩ご飯の準備をしなくちゃ!」
と元気よく答えて、キッチンへ向かった。
普段通りにご飯を食べて、黒曜さんとシルバがお風呂に入っている間に片付けと明日の準備を済ませた。
出てきたシルバに“お休み”の抱っことキスをして寝かせる。
二人と入れ替わりにお風呂に入り、洗濯も済ませる。
いつもの夜の時間の流れ。
ひと息ついてリビングに戻ると、シルバがまた起きてきていた。
さっき“お休み”したのにどうしたのかな…と思っていると、シルバが寄って来て もじもじしながら、小さな声で
「ママ…ぎゅうってしてほしい…」
俺は返事をするのも忘れて、即座にシルバを抱きしめた。
「シルバ…シルバは俺達の大切な家族だから。
これからもそれは変わらない。
俺は、ずっとシルバのママだからね。
…大好きだよ、シルバ。」
シルバは無言で。
でも、しがみ付く その小さな手の力強さに、シルバの思いを感じる。
垂れていた尻尾がゆらゆら揺れ始めた。
「…ママ、大好き!
ママ…ママは赤ちゃんのママだけど、僕のママなんだね!?」
「そうだよ。俺はシルバのママだよ。」
「…ありがと。お休みなさい。」
「お休み、シルバ。」
ぱたぱたと小さな足音が去って行った。
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