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報告②

俺に椅子に掛けるように進めた課長は 「で?できてた?」 「は?」 「こ・ど・も!相性のいい人狼はすぐできちゃうからねぇ。 予定日は?」 あまりのストレートな言い方に目を白黒させていると 「人狼の血が濃いと、思ってる以上に早く成長するんだよな… 早い人なんて、三か月らしいよ。 うちは半年だったからね。」 「三か月!?半年!?」 茫然としてフリーズした。 心構えもヘッタクレもあったもんじゃない。 そんなもの? そんなものなの? 「…二週間後にわかるって言われました…」 「そうか…じゃあ、部署替え、早くしなくちゃ。 で、どうする? 妊娠は病気じゃないけど、無理のないようにな。」 「ご提案通りに事務方へ…お願いします。 引き継ぎもすぐに。」 「そういうことなら早いほうがいいな…早速だが、花巻と森田に同行してもらって、取引先との顔合わせを頼むよ。 明日から三人で引き継いでいってくれ。 理由は…転勤しかないな。 ま、適当に話を合わせて。 大橋課長のとこにも行っとけよ。」 「…はい。花巻達にも迷惑をかけますが…」 「アイツらは迷惑だなんて思ってないよ。 …俺としては、お前がいなくなるのが痛いけどな。」 「課長…」 「ま、身体大事にして、元気な子を産めよ。 落ち着いたら見せに来い。 お前の子なら、やんちゃな跳ねっ返りが産まれてきそうだけどな。」 あははっ と笑って俺の肩を叩くと、課長が出て行った。 いつも飄々として、家では虐げられている風のあの人の、本当の姿はどうなんだろう。 チャラいかと思えば、真剣に考えてくれる、そのギャップに頭がついていってない。 「あ、引き継ぎ!」 俺も急いで課長の後を追った。

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