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報告⑤
初めての買い物に緊張してガチガチになっているシルバの手を取り、店に入って行く。
食料品、文房具、衣類、ラッピング、食器、化粧品、プラスチック製品…
ここで殆どの物が激安で揃う。
安くて便利で、俺もよく利用してる。
シルバは…目をキラキラさせて、キョロキョロとあちこちを見るのに忙しい。
気になる物があると立ち止まり、手に取っては棚に戻す。
何度も何度もそれを繰り返し、随分時間をかけて、額縁の所へ辿り着いた。
「さぁ、どの大きさがいいかな。あまり大き過ぎても飾る所に困っちゃうからね。
…これとか…こんなのはどうかな?」
シルバは悩んだ末に、葉書サイズの白いフレームの物を選んだ。
それと、額縁を飾るビーズや貝殻、ラッピング用の包装紙やリボンも。
興味津々でレジ打ちまで確認してから、戦利品を大事そうにしっかりと抱え、シルバはご機嫌で車に乗り込んだ。
この時…もっと気を付けていれば…
後になって悔やまれるのだが、俺達はシルバが喜ぶ様がうれしくて、そのことばかりに気を取られて、誰かが俺達をじっと見つめていたことに全く気付かなかったのだ。
家に着くと、シルバは早速レジ袋から品物を出すと、テーブルに並べてビーズを置いたり外したり、デザインを考えていた。
俺は晩ご飯の支度をしている間に、黒曜さんはお風呂の用意をしてくれ、シルバと一緒に入った。
ふぅ…片付け終わってから、父さん達に電話しなくちゃ。
「輝、先に入ったよ、ありがとう。
後はやっておくから、ゆっくり入っておいで。」
「はい!でも、もうちょっとで終わるから…」
「ほらほら、言うこと聞いて!」
背中を押されてバスルームまで連れて行かれた。
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