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ストーカーside:黒曜①
シルバを送り届けると、園長先生に呼び止められた。
「お時間ありますか?銀波ちゃんのことで…」
「ええ、大丈夫ですよ。銀波が何か?」
「新しい子の様子を直接保護者の方にお話ししてるので…さ、どうぞ。」
「はい、失礼致します。」
応接室へ通された。
ニコニコと微笑む園長先生は、コーヒーを持って来てくれた。
「よろしければ、どうぞ。」
ありがとうございます、と一礼すると
「銀波ちゃん、すっかり馴染んで、みんなとも仲良くやっています。」
「そうですか…それなら安心です。
最初はどうなるかと心配していたのですが…」
「あの子の柔らかな雰囲気が、みんなにいい影響を与えています。
特に太陽君に。」
園長先生は、コーヒーを一口飲んで
「あの子はとても優しくて、何も喋らなくても周りが優しい空気に包まれて、喧嘩や諍いが減ったんですよ。
太陽君は、中心的存在ですが、そのカリスマ性故に、威圧的だったり強引なところがあったのですが、それが段々といい方向に修正されていってるんです。
銀波ちゃんは、いい意味で不思議な子ですね。
そうそう、おめでとうございます!
今朝、銀波ちゃんが私を見るなり飛んできて
「僕、お兄ちゃんになるの!ママ、赤ちゃんができたの!
僕、カッコいいお兄ちゃんになって、一杯かわいがるんだ!」
って、こっそり教えてくれたんですよ。」
つらつらと喋り続ける園長先生は、よかったですね、と微笑んだ。
「ありがとうございます。
みんなと仲良くやっているなら、そしてお役に立っているなら、私もうれしいです。
今後とも銀波のことをよろしくお願い致します。」
と一先ずお礼とお願いをした。
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