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ストーカーside:輝⑦
尊敬の目で課長を見ていると
「そんな顔されたのは入社して初めてだ。」
と頭を軽く小突かれた。
「だって…課長はいつもチャラくて、いい加減…っうおっと……コホン…ゆるキャラ的な存在だったから…
こんな真面目でイケてる課長は初めてですからっ!」
「…いつも俺のこと、そんな風に思ってたのか…ショック…
家族だけじゃなくて、部下にもそう思われてたのか…」
ガックリと肩を落とす課長を遠巻きで見ていた花巻と森田が、声を堪えて肩を震わせて笑っていた。
「花巻ぃ!森田ぁ!」
「「はいっ!!」」
「お前らも…そう思ってたのかぁ?」
「いいえっ!俺達は“真の課長の姿”を知ってますからっ!なっ、要?」
「そうそう、いつものアレは、身内をも欺く“仮の姿”だって知ってますからっ!
ご家族も本当は、きっとそう思ってらっしゃるはずですよ!
ねっ、ねっ、松村先生?」
うんうん と頷いてご満悦な課長は、呆れ顔の松村先生に、どうだとばかりに顎を突き出し、胸を張った。
「…そういうところが『お調子者』って言われるんだよ、バーカ。
黙ってりゃあ、少しはマシなものを。
ぺらぺらぺらぺら喋りやがって。
モコをみならえ!モコを!」
えっ、えっ、松村先生?
そんなこと言っても大丈夫なんですか?
オロオロとする俺に、森田がこっそりと
「いつもの痴話喧嘩だから気にしないで。」
と宣った。
痴話喧嘩…痴話喧嘩?…恐る恐る聞いてみた。
「あの…お二人は同期?先輩後輩?同じ学校出身?」
課長は苦虫を潰したような顔で俺を睨み、松村先生は口をぽかっと開けて俺を見ていたが、そのうち、大笑いし始めた。
俺はどうしていいのかわからず、二人を交互に見つめるばかりだった。
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