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護り①
結局、黒曜さんがシルバの迎えと荷物を取りに行っている時間を利用して、森田と総務に挨拶に行くことになった。
「失礼しまーす!大橋課長いらっしゃいますかぁ?」
「おっ、森田!明日から忙しくなるぞ!
…葛西君だね?
今日は大変な目に遭ったそうだね、落ち着いたの?」
「はい!ご挨拶が遅くなり申し訳ありません。
葛西 輝です。
よろしくお願い致します。」
「森田、ちょっとそこで待っててくれる?
葛西君と労働条件の擦り合わせするから。
コーヒーはセルフだから、勝手に飲んで。
じゃあ、葛西君、こっちへどうぞ。」
「失礼します。」
課長に連れられて、会議室へ向かう。
「さてと…
優秀な君を営業部もなかなか手放したくなかったらしいが…身体も心配だからね。
それに、今日のようなことが、またあるかもしれない。
花巻と森田がいるから心配はないが…十分気を付けて、自分を守る術を身に付けて。
ね?」
「はい。」
と答えるが、やはり実感がまだなくて、ぼんやりとしていた。
「さて、と…
ここは、産前産後、病気療養中、病み上がりでリハビリ中、それと介護を必要とする家族がいる…等々で短時間でしか働けない社員が殆どだ。
自分の身体が一番だから、無理をしないように仕事をこなしている。
人数も多いから、休むことは気にしないでいい。
とは言え、その体力や能力に合わせて仕事を割り振りしている。
体力が戻ったり、フルで働ける環境になったら、また通常業務に戻る社員も大勢いるよ。
君は…出産と子育てに専念…ということだよね?
朝は何時から来れる?
この事件が落ち着くまで花巻達と一緒の方がいいから、今と同じ八時半からでどうかな?」
「はい、大丈夫です。」
「終業時間は…どうかな?」
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