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護り⑥
シルバに頬を擦り寄せて、幸せそうに微笑む森田。
丁度そこへ花巻が入ってきた。
「ねぇ、浩一!見て見て!
シルバちゃん、かわいいだろう!?
あったかくて、もふもふで、気持ちいいーっ!
…いつか、俺達にも子供ができたら、こんな感じなのかな…」
森田は愛おしげにシルバを撫でている。
シルバも、森田の気持ちが分かるのか、大人しくじっとして身体を委ねている。
側に来た花巻が、そっとシルバに触れる。
「きゅうっ」
甘えるような声で鳴いたシルバの頭を撫でて
「かわいいなぁ…」
と呟いた。
「…子供…ほしいね…」
森田がやっと聞き取れるくらいの小さな声でささやいた。
「…その前に結婚式だ。入籍もしなくちゃ。
この事件、解決して…結婚しよう、要!」
「…浩一…
…一年…あと一年、待つんじゃなかったの?」
「うん、そういう予定だった。
でも…目の前でこんなに幸せそうにされてたら、一年も待てないよ!
愛おしいお前が側にいて、心もとっくに貰ってるけど、恋人から夫 に昇格させたい。」
「浩一…」
花巻が、シルバを抱く森田をそっと抱き寄せた。
「俺達の…人狼の未来のために、何としてでもこの事件、解決させるぞ!」
「きゅん、きゅん!」
「ははっ、そうだよな。
シルバちゃん達のために、おにーさん達 頑張るよ。
…いい子だね…」
花巻は優しい手つきでシルバを撫でた。
森田はもう決壊しそうなくらいに、涙を溜めている。
シルバが伸び上がって、森田の頬を舐めた。
ぽろっ
次の瞬間、森田がシルバを抱きしめて泣き出した。
宥めるようにその背中を摩る花巻。
その場にいる誰もが、その光景を微笑ましく見守っていた。
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