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護り⑦

子供の姿に戻ったシルバを連れて、黒曜さんと俺は少し早めに退社した。 帰る前に、中澤課長から『念の為に』と、防犯ベルとGPSが付いたキーホルダーを渡された。 黒曜さんと俺の携帯にも、それぞれの場所が分かるアプリを入れてくれた。 「かわいいねー。僕の、うさぎさん付いてるよ! 黒曜は…何かヒラヒラ? ママのは、ハートマーク!」 車の中で、シルバはご機嫌だった。 『何かヒラヒラ』というのは、男性が持っても違和感のない、革でできたフリンジのこと。 俺だって男なんだけどな…。 ラメの付いた小さなブルーのハートが煌めいていた。 「ママのもかわいいねー!」 「ふふっ、そうだね。 ピンクじゃなくて良かったよ。」 「ママはピンクでもかわいいよ!」 「そう?ありがとう。」 そんな話をしていると突然 キキキィーーーッ!! ガッシャーーーン!!! 物凄い音と衝撃が走り、薄れゆく意識と視界の中で、シルバの泣き叫ぶ声が聞こえていた。 ママァッ!ママッ!黒曜っ!助けてっ! シルバ!?シルバ!? 何?何が起こったんだ!? 黒曜さん!?黒曜さんどこっ!? ………そこで意識が途切れた。

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