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咆哮①

…消毒の匂い…凄い衝撃…痛む身体…シルバの、助けを呼ぶ泣き叫ぶ声… シルバ!?シルバはどうした!? 「シルバ!シルバ、どこっ!?」 「輝っ、気が付いたか…良かった…」 「黒曜さんっ!?その怪我っ!大丈夫?? シルバっ、シルバはどこ?無事なの? 痛っ!!!」 「無理しちゃダメだ。安静にするようにと医者から言われてる。」 黒曜さんは起き上がろうとした俺を諌めて、横にさせた。 「俺は、かすり傷だから大丈夫だ。 …銀波が…攫われた…」 「え?どうして?誰にっ!?シルバ…シルバを探さなきゃ!!!」 「落ち着け、輝!お前も怪我をしてるんだ。」 「あ…」 黒曜さんは頭と左腕に包帯を巻かれていた。 俺は病院の寝巻きに着替えさせられていて、腕には点滴のチューブが繋がっていた。 頭と両腕、そして右膝に包帯が巻かれていた。 「でも、シルバ…シルバは……赤ちゃん…赤ちゃんは?…無事?」 「大丈夫、元気だ。ちゃんと調べてもらった。 人狼の子は強いから。」 ホッとすると同時に強い怒りが込み上げてきた。 「一体誰がシルバを!? シルバを探さなきゃ!!!」 「今、中澤課長達が動いてくれてる。 輝はとにかく、安静にして!」 「そんなっ!こんな時に安静になんてしてられない! 俺達の…俺達の大切な息子が攫われたんだよ!? 今頃、きっと泣いてる! …シルバ…シルバ…」 溢れそうになる涙をぐっと堪え、ぐいっと袖で拭い取った。 俺が泣いてもシルバは帰ってこない。 泣くより考えろ! 俺は…俺はママだっ!シルバのママなんだから! そうだ、GPS!課長に貰ったGPSは?

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