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咆哮③
プチパニックになっている俺に代わって、黒曜さんが応対してくれた。
「ありがとうございます!
私は輝の婚約者の須崎黒曜です。
今、四方手を尽くして捜索しているところです。
人狼の警察部長がいるので、連絡しますね。」
黒曜さんは手短に挨拶すると、電話し始めた。
「担当者がこちらに来てくれますので、合流して下さい。
どうか…どうか、よろしくお願いしますっ!」
「全力を尽くします。」
コンコン
こちらの返事も聞かずに森田が飛び込んできた。
「葛西君、意識戻ったんだね!良かった…
えーっと…森田です!一緒に来ていただいていいですか?
ご協力ありがとうございます!」
ばたばたと森田と水谷さんが出て行った。
残された俺達は無言で…
その内、兄さんがぽつりぽつりと話し始めた。
「…年下だけど…頼りになる奴なんだ。
…絶対に見つけてくれる。
輝、しっかり気を持てよ。
黒曜君、君も少し休まないと。」
「俺のことよりシルバだ!
…どんなに心細い思いをしてるのか…早く助け出してやらないと…」
「輝、それはみんなが思ってくれてる。
俺達に手を貸してくれる人達を信じよう。
それに、シルバはそんな弱い子じゃない。
シルバのことも信じるんだ。」
黒曜さんの目を見て頷く。
そうだ。シルバは強い子だ。
待ってて!絶対に、絶対に助けるから!
黒曜さんの電話に着信がっ!!
「もしもしっ!?
はいっ……はい……………えっ!?そんな……
……………そうですか……はい。
…わかりました。
どうか、どうかよろしくお願いしますっ!」
どうしたの?何かわかったの!?
電話を切った黒曜さんは、大きなため息をつき…
嫌な予感に、ぶるっと身体が震えた。
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