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人狼の村より…side:村長②
嫌な予感がする。
得てして、こんな時の悪い予感ほど当たるものだ。
「どうしましたか?」
「太陽が…さっきまでそこにいたんですが…
おーい!太陽ぉーっ!太陽っ!
…おかしいな…どこに行ったんだろう…」
うろうろと小橋さんが辺りを探し始めた。
近くにいた職員に
「ちょっと、君!その辺で男の子見なかったか?
白いシャツにジーンズを履いた…」
「あれ?その子なら、廊下を走って外へ出て行きましたよ!
こんな時間に何で子供が…って不思議に
思ってたんです。
まさか、一人で出て行っちゃったんですか?
こんな時間に?」
「それだっ!でも、どうして外なんかに…
まさかっ!銀波ちゃんを探しに?」
「緊急対策室の大人の会話を聞いていたのかもしれません。
おーい!誰かいないかー?」
「はい、どうされましたか?」
「どうやら小橋さんちの太陽君が、銀波ちゃんを探しに出て行ってしまったんだ。
悪いんだけど、小橋さんと一緒に太陽君を探してくれないか?」
「分かりました!子供の足なら、そう遠くには行ってないはず。
小橋さん、行きましょう!」
「こんな時に…申し訳ありませんっ!」
恐縮する小橋さんを急き立てて、追いかけさせた。
番の思いは強い。
恐らく、太陽君は人狼の遠吠えを聞き、ここでも大人の会話を聞いて、銀波ちゃんの危機を察知して、助けに行ったのだろう。
どちらも早く見つかればいいが…
どうか、どうか二人とも無事でいてほしい。
それにしても
こんなに大勢の人狼達が協力してくれるなんて。
この世もまだ捨てたもんではないな。
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