247 / 337

人狼の村より…side:太陽②

警官の足元を素早く潜り抜けて、そっと隙間から身体を滑り込ませた。 心臓がドキドキしてる。 ふうっ…と息を吐き、闇の中を凝視する。 奥の方に明かりが少し漏れている。 もう少し近付いてみよう。 音を立てないように、慎重に慎重に距離を詰めていく。 男が二人。酒を飲んでる。 空瓶がいくつもテーブルに転がり、かなり酔っているようだ。 一人はもう、船を漕ぎほとんど意識がない。 テーブルの下に小さなケージが一つ。 その中に、何かが蹲っているのが分かった。 銀色の狼!!! それはふるふると震えていた。 胸がドキンとした! シルバ!?シルバだっ!!!!! 俺の匂いに気付いて! シルバ、俺、ここにいるよ! ぴく と耳が動き、ふんふんと鼻先が匂いを嗅いでる。 シルバ!そうだよ!俺、ここにいるよ! 待ってて!今、助けるからね! 男の様子を伺う。 寝ている男は無視しよう。 もう一人は…酒の瓶を逆さに振った。もうカラになったらしい。 「もう一本飲むか。」 独り言ちて立ち上がると、その身体がゆらりと揺れた。 大分酔いが回っているようだった。 よろよろと歩き出し、ドアを開けて隣の部屋に行ったようだ。 “今だ!” 猛ダッシュでケージに近付くと、ひそひそ声で呼び掛けた。 「シルバ、シルバっ!」 びくっと身体を跳ねさせたシルバは、ゆっくりと目を開き顔を上げた。 「…嘘…太陽、君?」 「しっ!声出しちゃダメ!」 ケージを見ると、ストッパーが掛かっているだけで、鍵はなかった。 鼻先で押し上げ そっと扉を開けると、シルバが飛び出してきた。 何も言わずに身体を絡め合い、匂いを嗅いで無事を確かめ合う。 言葉はいらなかった。

ともだちにシェアしよう!