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人狼の村より…side:太陽②
警官の足元を素早く潜り抜けて、そっと隙間から身体を滑り込ませた。
心臓がドキドキしてる。
ふうっ…と息を吐き、闇の中を凝視する。
奥の方に明かりが少し漏れている。
もう少し近付いてみよう。
音を立てないように、慎重に慎重に距離を詰めていく。
男が二人。酒を飲んでる。
空瓶がいくつもテーブルに転がり、かなり酔っているようだ。
一人はもう、船を漕ぎほとんど意識がない。
テーブルの下に小さなケージが一つ。
その中に、何かが蹲っているのが分かった。
銀色の狼!!!
それはふるふると震えていた。
胸がドキンとした!
シルバ!?シルバだっ!!!!!
俺の匂いに気付いて!
シルバ、俺、ここにいるよ!
ぴく と耳が動き、ふんふんと鼻先が匂いを嗅いでる。
シルバ!そうだよ!俺、ここにいるよ!
待ってて!今、助けるからね!
男の様子を伺う。
寝ている男は無視しよう。
もう一人は…酒の瓶を逆さに振った。もうカラになったらしい。
「もう一本飲むか。」
独り言ちて立ち上がると、その身体がゆらりと揺れた。
大分酔いが回っているようだった。
よろよろと歩き出し、ドアを開けて隣の部屋に行ったようだ。
“今だ!”
猛ダッシュでケージに近付くと、ひそひそ声で呼び掛けた。
「シルバ、シルバっ!」
びくっと身体を跳ねさせたシルバは、ゆっくりと目を開き顔を上げた。
「…嘘…太陽、君?」
「しっ!声出しちゃダメ!」
ケージを見ると、ストッパーが掛かっているだけで、鍵はなかった。
鼻先で押し上げ そっと扉を開けると、シルバが飛び出してきた。
何も言わずに身体を絡め合い、匂いを嗅いで無事を確かめ合う。
言葉はいらなかった。
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