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緊迫②
side:太陽
あったかい…シルバ、生きてる…
鼻先を擦り合わせ、大きく息を吐いた。
シルバの耳元でささやく。
「いいか、シルバ。ここを脱出する。
今がチャンスだ。俺の後について来て!
出来るだけ音を立てないように。」
シルバは涙目でこくこく頷いた。
一つ目の影になる場所を確認する。
酔っ払った男はまだ机に突っ伏したままだ。
酒を取りに行った男が戻るまでに…
急げっ!!
シルバと一緒に隠れた瞬間
パァーーーン!!!
数メートル先の木箱が砕け散った。
驚いてその場に立ち尽くし、振り返ると、さっきの男とは違う奴が、俺達に何か黒い物を向けていた。
その先からは白い煙が上がっている。
拳銃!?
そいつは照準を俺達に当てている。
マズい。撃たれる。
どうしよう。
シルバ…シルバは震えて動けなくなっていた。
寝ていた男が飛び上がった。
「アンタ、誰だ?」
酒瓶を持って慌てて飛び込んできた男が、起きたばかりの男の頭を引っ叩いた。
「いてぇっ!何すんだよっ!」
「ばかっ!口の利き方に気を付けろっ!
この人はな、俺達の雇い主。
ヘマやらかしたら海の底だぞっ!
社長、申し訳ありませんっ!」
「…申し訳ないと思うなら、早く捕まえろ。
それに、何故一匹増えてるんだ?」
「えっ!?本当だ…何でだ?
おいっ、お前、見てたんだろ?」
「へぇっ!?…何でだろ…」
「まぁ、いい。早くしろっ!」
「「はいっ!!!」」
男達が、ジリジリと近寄ってくる。
俺はシルバを突くが、腰が抜けてしまったのかその場から動こうとしない。
「太陽君、早く逃げてっ!
僕は大丈夫だからっ!早くっ!」
唯一動く頭を精一杯伸ばして、俺を押し出そうとするシルバ。
ありったけの勇気を振り絞って叫ぶ。
「ばかっ!お前を置いて逃げれる訳ないだろっ!」
そうしている間にも、男達との距離が縮まっていく。
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