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緊迫④

side:シルバ 社長と呼ばれた男は観念したのか、拳銃をゆっくりと床に置き、両手を上げた。 もう一人の男は膝から崩れ落ち、放心状態のまま両手を上げた。 その二人を警官が取り囲み、手錠を掛ける。 シルバぁーっ!!!太陽くーんっ!!! 「ママだ!ママぁーーーーーっ!!!」 転がるようにママが走ってくる。 ママ、走っちゃダメ! 転んだら大変だよ! 赤ちゃんびっくりするからっ! 遅れて黒曜が足を引きずりながら走ってくる。 黒曜…怪我してるの? はぁはぁと息を荒げたまま、ママは、僕達を助けれくれた警官から、僕と太陽君を受け取るとぎゅうっと抱きしめた。 「…シルバ…太陽君…無事で…本当に無事で良かった…本当に、無事で………」 ぼろぼろと涙が後から後から溢れて止まらない。 ママは涙で顔がぐちゃぐちゃになってる。 僕と太陽君は、そんなママの頬をペロペロ舐めた。 やっと追いついた黒曜が、ママごと僕達を抱きしめてくれる。 「お前達のやってきたことは、全て裏が取れてる。 残念ながら、お前達が誘拐した子供は全て親の元に帰ってるよ。 人間のお前が何故人狼の子供を誘拐する必要があるんだ?」 ふんっ と鼻白んだ顔付きの『社長』は 「俺の血が混じった化け物がいるかと思ったら、胸くそ悪いんだよっ! あの時に息の根を止めてやれば良かったんだ。 やっと見つけたと思ったのに、お前ら何だよ!邪魔しやがって。」 何?何言ってるの? 『化け物』? 『息の根を止める』?? それ…僕のこと…? まさか…お父さん…?

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