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緊迫⑥

side:輝 パトカーのサイレンが響き、パトライトの赤い色があちこちに反射し、大勢の警官達が動き回っている。 どうやら、人間と人狼と合同での捜査が進められていたようだった。 俺にぶん殴られた奴は、両腕を警官に抱えられ連れて行かれた。 シルバに目もくれずに。 人狼の裁きは人間のそれとは違い、物凄く厳しいものだと聞いた。 人間だとはいえ、人狼に手を出した奴は、人狼の世界の裁判を受けることになる。 これから、有り余るほどの余罪を突き付けられそれらの罪を償うために一生塀の中で暮らし、もう二度と俺達の前に現れることはないだろう。 あんな男に関わって命を落とした白磁さんを思うと、胸が痛くなった。 黒曜さんは大丈夫だろうか? そっと隣を伺うと、男が連れて行かれるのを黙って見ていたが、俺の視線に気付くとひと言 「大丈夫だ。」 と言い、頭を撫でてくれた。 「おーい!見つけたぞー!全員無事だ!!」 今夜、海外へ運ばれる予定だった人狼の子供が三人、警官達に抱きかかえられて親と涙の再会を果たしていた。 良かった…無事で… 俺の腕の中の二人は、まだチビ狼のままで、抱き合うように互いに身を寄せていた。 「たいよぉーーっ!太陽っ!!」 太陽君のお父さん! きゅうっ と泣いた太陽君を見つけると、お父さんが俺の元へ飛んで来た。 「私達のせいで大事なお子さんを巻き込んでしまってほんとうに申し訳ありませんっ!」 黒曜さんと一緒に詫びて頭を下げ続けた。 お父さんは目に薄っすらと涙を溜めて言った。 「そんなっ!さぁ、頭をあげて下さい! 二人とも無事だったじゃないですか! 俺は、こんなチビ助のくせに、自分の大切な番を助けに行った息子を誇りに思いますよ。」

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