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ぬくもり②

ふふっ。 「おはよう、シルバ。 起こしちゃった?ごめんね?」 その小さな身体を受け止めて抱きしめる。 きゅうきゅう鳴いて甘えるシルバの背中を撫でてやると、俺の頬をぺろぺろ舐めてきた。 良かった…元気そうだ。 その時、低い声が聞こえてきた。 「…シルバ…輝は俺のものだからな。」 ぴきっと固まり、黒曜さんの方に振り向いたシルバは、肉球パンチをお見舞いして、きゅんきゅんと鳴いて抗議していた。 「いてててっ!こらっ、銀波っ! 痛いじゃないか!」 何だか子供の喧嘩みたいでおかしくなって、一人でクスクス笑っていると、黒曜さんにおデコをつつかれた。 「てーるー…」 「だって…子供の喧嘩みたいなんだもん。 黒曜さん、シルバと同レベル…」 それを聞いた黒曜さんは、はぁーっ とため息を零し 「…輝は俺のものなのに…」 と呟いた。 人型に戻ったシルバは 「ママは僕のママだもん!黒曜だけのママじゃないもん!」 と食って掛かってる。 「ほらほら、朝から喧嘩しないの! 俺は黒曜さんのパートナーで、シルバのママ。 それでいいでしょ? 今何時?うわっ、寝坊した!ご飯の手伝いっ!」 慌てて起きようとすると、黒曜さんが 「俺が手伝ってくるから、輝は銀波とゆっくりしてて。 銀波、ママを頼んだよ。」 「うん!任せて! ママ、まだ横になってて。」 シルバは俺に布団を被せて、あやすように ぽんぽんと背中を叩いた。 そして、布団に潜り込んで、そっと胸元に縋り付いてきた。 「ママ…」 俺はその身体を優しく抱きとめると 「シルバ、よく頑張ったな。 すぐに助けてあげられなくてごめんな。」 「ママ…怖かった…」 そう呟くと、しくしく泣き出してしまった。

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