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ぬくもりside:シルバ①

僕は、あったかくて優しいママに抱きしめられて、やっと『帰ってきたんだ』って強く思った。 怖かった。 僕を見るアイツのあの目。 まるで汚いものでも見るような。 思い出して、身体が震えてきて涙が出てきた。 「シルバ…大丈夫。もう、大丈夫だよ。」 ママの声が頭の中で、嫌なことを消していってくれる。 ママにくっ付いている所から、優しさと大好きが、染み込んできて、柔らかな気持ちになってくる。 ママって不思議。ママ、大好き! あの事故… 『咄嗟にシルバちゃんを抱え込んだ輝君がクッション代わりになったんだよ。』 って、お医者さんが言ってた。 だから、ママは身体のあちこちを打つけて大怪我をしたけど、僕は全くの無傷だった。 血がたくさん流れて、ママの身体が段々と冷たくなっていった。 黒曜は…全然目を覚まさなかった。 「ママ…黒曜…死んじゃやだ…」 その時僕は泣くことしかできなかったんだ。 ドアを開けて見知らぬ男が僕を掴んだ! コイツら、助けに来たんじゃない! 「ママァッ!ママッ!黒曜っ!助けてっ! ママッ、ママ!助けてっ、助けてっ!!」 ママから引き剥がされて、男に抱えられた。 ママはピクリとも動かない。 いやぁーーーーーっ!!!!! 黒い車に押し込められた。 何かツンと鼻にくる臭いのハンカチを当てられて… 次に目を開けた時には、僕はチビ狼になっていた。 小さなケージに入れられて。 ぶるっ と身体を震わせて、前足を突っ張って伸びをした。 網目の向こうに、僕を連れ出した男達の足が見えた。

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