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雨降る夜⑩
少しふっくらとしてきた胸もぺろぺろと舐められ、赤い粒に吸い付かれ、くふん と鼻から甘い声が抜けた。
俺の感じている様子を見て、黒曜さんはうれしそうに微笑む。
そっと大きな手を俺のお腹に当てると
「ここに…いるんだな…」
そう呟くと、お腹にも ちゅっとキスしてくれた。
その頃には俺の先端からは、くぷくぷと溢れる愛液が流れ落ち、下生えをぐっしょりと湿らせていた。
俺に跨っている黒曜さんの立派な楔からも、それ以上に溢れる愛液が、俺の太腿や膝に垂れ落ち擦れて、その液でさえも びりびりと電気が走るように感じている。
黒曜さんは足先までキスを施すと、ヒクついて彼を誘う後孔にも舌を這わせ、丹念に開いていった。
「あっ…黒曜さんっ…黒曜…」
「もう我慢の限界…輝、俺を受け入れて…」
俺の身体の向きをゆっくりと反転するように促し、うつ伏せにさせられた。
濡れる切っ先を数度擦り付けると、遠慮がちに中へ分け入ってきた。
ぐちゃりぐちゅりと滑った音と一緒に剛直の楔が埋め込まれていく。
「あああっ」
反らせた喉元も舐められる。
根元まで咥え込んだ楔が動き始めた。
労わるような優しい抽挿に、黒曜さんの思いを感じて、その動きを心から受け止める。
身体中を巡る愛の快感に、震えが止まらない。
愛されてる…俺は、この夫 に…
穿たれる抽挿の果てに、満足するまで何度も吐き出される大量の熱い飛沫を身体の奥に受け入れて、うれしくて愛おしくて、涙が溢れてくる。
「…輝?大丈夫か?無理させてすまない…」
耳と尻尾が、しゅんと下を向いている。
俺は手を伸ばして柔らかな耳を揉むと
「大丈夫…愛してます…黒曜さん。」
破顔した夫に抱き付かれ、目を閉じた俺の耳に優しい雨の音が聞こえた。
その音を聞きながら、数多に降り注ぐキスを穏やかに受け止めていた。
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