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産休④
三人で笑いながら賑やかにお弁当を食べて(二人とも食べ過ぎて、暫く大の字になって動けなかった)、シルバにせがまれて、花の冠を作ってあげた。
「ママ、すごーーい!綺麗!」
「昔、おばあちゃんが教えてくれたんだ。
時間が経っても手が覚えてるもんなんだね。」
「僕にも教えて!」
「いいよ!茎をこのくらいの長さにして詰んできてくれる?」
「はーーいっ!」
駆け出していくシルバを見送り、視線を感じて振り向くと、起き上がった黒曜さんが俺をじっと見つめていた。
「黒曜さん?どうしたの?」
黒曜さんは俺に近付くと、そっと背後から抱きしめてきた。
「甘えん坊さんになって、どうしたの?」
回された腕を優しく撫でると
「…俺の方が幸せだな、って。
銀波と二人きりで、あの子が独り立ちしたらずっと死ぬまで一人だと思ってたから。
二人の時はあんなに…声を出して笑うことなんて、なかったから。
輝と出会ってから、俺も銀波も心から笑えるようになったのかも。
毎日が楽しくてワクワクしてドキドキする。
輝…俺達と出会ってくれて、思いを受け止めてくれて…本当にありがとう…」
「黒曜さん…」
「家出して、輝と出会った銀波を褒めてやらなきゃ。」
俺はもう、胸が一杯になって、黒曜さんの腕をぎゅっと抱きしめた。
今日、何度目かの涙が零れ落ちる。
もう、一人じゃないから。
シルバが独り立ちしても、俺が、一生側にいるから。
『お前に飽きた』なんて言われても、絶対に離れないから!
そんな思いを込めて、黒曜さんに抱かれ抱きしめ返す。
柔らかで涼やかな風に吹かれて。
穏やかな気持ちに包まれた俺達は、美しい風景と美味しい空気に満たされて、二つの花冠を手にしたうれしそうなシルバと、帰宅の途についたのだった。
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