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ニュース③
映画化が決まってからの黒曜さんは、更に忙しさが増したようで。
シルバの送り迎えを頼むのも躊躇するようになったある日のことだった。
いつものように遊びにやって来た森田が
「何かねぇ…最近、マンション付近に怪しい奴がいるんだよね…」
と話し始めた。
「怪しい奴?まさか、また誘拐犯?」
シルバの誘拐事件がフラッシュバックした。
「ううん、それとは違う。
カメラとか携帯とか持ってるから。
浩一達が調べてるからすぐにわかるはずだよ。」
「…カメラ…携帯…
あっ!ひょっとしたら…」
「心当たりあるの?誰?」
「実は…」
俺は森田に、黒曜さんの作品の映画化のことと、それに伴って黒曜さんの私生活を暴こうとする奴らが出てくるであろうこと、
そして
今の生活を守るために、俺達に何かあれば手段を選ばない覚悟があると言っていること…
を話した。
森田はため息をつきながら
「“有名税”みたいなもんか…
有名人には何をやっても構わないって、勘違いする奴らがいるからね。
すぐ浩一に伝えるよ。
パパラッチの線が強いからね。」
森田はすぐに電話を掛け始めた。
電話を終えた森田に
「俺との関係が記事になったら…ましてや、俺は…人狼で、出産を控えている。
もし、もしこれが公になったら…森田、どうしよう…俺達家族の問題だけじゃなくなる。」
森田は、震える俺の両手をしっかりと握りしめると
「大丈夫。サポートはちゃんとしてるから。
…あの事件の時もそうだっただろ?
今、浩一が上に報告してるから、然るべき処置がすぐに取られるよ。
今の輝君は『無事に赤ちゃんを産むこと』だけを考えて。
ね?」
森田の優しさに目が潤んでくる。
「…ありがとう、森田…ごめん…」
俺の背中を摩る森田の手のひらはとても温かかった。
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