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不安⑨

きゃいきゃい はしゃぐ二人。 喜んでもらえるなら良かった。 俺なんかでも、役に立つことがあったんだ。 「シルバとお世話になります。 よろしくお願いします!」 改めて頭を下げる。 「こちらこそ! 自分と家だと思ってのんびりして。 それと、少しでも変だと思ったら俺達に言うこと。すぐ病院に走るから。 シルバちゃんの送り迎えと保育園関係の行事も任せて。 そうそう、中澤課長も協力してくれるって言ってたよ。」 「え?課長も?」 「モコしか相手にしてくれないから、子供で癒されたいってさ。 ある意味不憫な人だよなぁ…」 こびり付いていた不安が、少しずつ取れてきた。 みんなが助けてくれる。 一人じゃない。 「ありがとう!甘えてお世話になります!」 にこにこ笑う二人を前にして (黒曜さん…こうやって手助けしてくれる人達がいます。だから…心配しないで…) そう、心の中で黒曜さんに呼び掛けた。 そうして、居候生活がスタートしたのだった。 黒曜さんがいない寂しさも、シルバや花巻と森田のお陰で、少しは考えなくても済んだ。 おまけに、俺は外出できずに持て余していた体力と感情を花巻の家で発散することができた。 忙しい二人に代わって、家中をピカピカに磨き上げ、三食きっちりと食事の用意をしたのだ。 「うわぁ…凄い…輝君、女子力高くなーい? 結婚しても俺、こんなにできないよぉ…」 「俺達は滅茶苦茶助かるしうれしいけど、身体大丈夫? 無理しないでね!」 大はしゃぎの二人に 「大丈夫! 生まれるまでは身体を動かした方がいいんだって。 それに、動いてた方が気が紛れて…」

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